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■デザインとリサイクル 工業デザイナーや建築家たちは、明治以来の日本の殖産興業政策の結果である第二次世界大戦後の、高度経済成長がピークを過ぎ、そのひずみが顕在化して初めて、産業に代わる環境、……もう少し限定するならば、生活環境という次のテーマを発見したのでした。
公害対策基本法が制定されたのは1967年のことです。《環境》というテーマの発見が意外に早かったと私たちに感じさせるのは、さまざまな環境問題がいまだ未解決どころか、増大の一途をたどっているためでしょう。
近年、環境問題に対するデザイナーの意識は相当高まり、製品やそのパッケージのリサイクルに力を入れる企業も増えました。できるかぎりリサイクル可能な素材を用い、かつリサイクルしやすいデザインをするという考え方は欧米、とくにヨーロッパではかなり徹底されており、日本でも「エコ・デザイン」などと呼ばれて相当な広がりを見せています。最近では、小学校教育の段階でエコロジーやリサイクルといった考え方への学習導入が計られるようになったのです。もはや、デザイン系学科の卒業制作で、 |
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単に新しい概念としてプレゼンテーションするような段階ではありません。それはすでにデザイン上の常識、あるいは、基本的チェック項目なのです。
大型家電の回収や再利用を義務付ける「特定家庭用機器の収集・再商品化法」、いわゆる「家電リサイクル法」の施行は目前に迫っており、業界は個々に、あるいは企業グループをつくって、それに対応しようとしています。使用済み大型家電製品を破砕して、鉄、銅、アルミニウムなどの金属、および各種プラスチックなどを回収する試験が各所で行われています。その対象となるのはテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの四品目で、エアコンを除く残りの三品目は、かつての家電ブームの時代、つまり高度経済成長の裏側で公害が広がっていた時期に、「三種の神器」といわれたものです。
「家電リサイクル法」の施行は2001年の4月です。1971年に東京都江東区で始まったとされる「ごみ戦争」は、大量生産・大量消費の経済が減速した20世紀末になっても終ることなく、近代日本が経験するもっとも長い戦い、30年戦争になることがあらかじめ宣言されたのでした。 |
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欧州戦線はすでに次の戦局に移っており、ヨーロッパでは、製造業者が回収を約束しない自動車は一切製造販売できなくなる日も近いでしょう。 |
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【フェロポリス】

今世紀の建築や都市などの近代遺産をどのように継承・再利用するかが先進諸国の大きな課題となる中で、ドイツでは様々な先駆的プロジェクトが進められています。ザクセン・アンハルト州デッサウの北ゴルパ地帯に広がる採掘場跡地では、砂漠と化した大地に湖を造成し屋外劇場が建設されます。そこで廃虚となっている巨大な掘削機は劇場を取囲む舞台装置として蘇生します。旧東地区ではこうした工場地帯等の跡地を、都市環境の向上と再活性化へのテーマとして意欲的な開発に取組んでいます。
by T.Shiobara
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