情報誌「ネルシス」 vol.1 2000

P-27[PROJECT FILE]都市空間に水と風と緑を ヒルズ 久が原 地域の顔 ―駅― 粉河駅南広場 川はすべての人にやさしい 荒川 岩淵地区
P-37[PROJECT FILE]ニライ橋  名護城公園 森林公園 四十ヶ浦池 長崎-路面電車停留所 竜岩自然の家
P33-36
広場全面に芝生をしつらえた、開放的な憩いの空間づくり
東京都杉並区梅里、堀ノ内妙法寺の近くに「梅里公園」はあります。交通の要所、環状七号線から高円寺都営住宅を経た一角に位置したこの公園は、神田川・環状七号線地下調節池第一期工事の立坑発進基地として、東京都がこの一部を占用し工事を行ってきました。この工事の完了に向けて、従来の梅里公園を全面的に改造、復旧するプロジェクトが実施されました。
平成11年3月に、この公園が復旧されたことにより、約10年という長い期間、公園の大部分を閉鎖して行われてきた地下調節池の第一期工事は完成しました。復旧面積は影響区域を含め4,658.76m2とさほど広くはなく、すぐ近くの蚕糸の森公園と比較すると規模、知名度とも勝るとは言えません。
しかし、隣接する真盛寺の雄大な高木樹林や風格ある鐘楼を借景に、子どもたちやお年寄り、あらゆる人たちにやさしい、防犯面を重視した見通しの良い広場空間を提供することを主眼に復旧されたこの公園は、すべてにおいて地域性豊かであり開放的な空間づくりがされています。
真盛寺との境に盛土境壁を設け、石積、遊水、各種ツツジや紅葉などの中高木での緩衝地帯を確保し、寺の樹林地との調和を形成するこの公園は、お年寄りや身体に障害を持つ人たちにも利用しやすい安らぎの場として、多くの工夫を凝らしています。段差の少ない緩やかな勾配、歩道は通行しやすい舗装、広場は全面に芝生をしつらい開放的空間を確保しています。公園内の主な施設としては、
@車いすでも利用できる幼児用木製複合遊具の導入 A防災用井戸2基を設置し、生活用水として確保するとともに、水循環施設として水遊び用の水源に活用する B電動車いすでも容易に入れる車止めの導入、など。
なかでも防災用井戸ポンプ及び水循環ポンプの電源は、公園内に設置されているソーラー・システムによる太陽光エネルギーを利用した施設として注目できます。また公園南口地下には地下河川の立坑があり、地下河川の膨大な貯留能力を活用、消防庁は非常水源として確保しています。そうした意味からここ梅里公園は、都市住宅地における重要な防災拠点のひとつである、と言うこともできます。
〈ユニットレール1型 手すり〉が設置された歩道は、通行しやすい舗装路。真盛寺の深樹木を借景し、情緒ある石積みが施されています 公園内にある2基の防災用井戸は、生活用水と水遊びに活用
柵、手すり、ベンチとして利用可能な〈ユニットレール1型ベンチ柵〉。自然の光・風・においを感じながら読書を楽しみます
ユニットレール1型 ベンチ柵
ユニットレール1型 手すり
ユニットレール1型 バイク進入防止ゲート
車いすも進入可能な〈ユニットレール1型 バイク進入防止ゲート〉
水循環施設の電源として
ソーラーエネルギーを利用
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福島県安達郡安達町。首都圏と東北各地を結ぶ国道4号線沿線の、福島市と郡山市の間に位置する交通の要所。「道の駅安達〜千恵子の里」は、地域と道路とが出会う理想的な道とは何か、そんな「ほんとうの道の駅」をめざして国道4号線上り車線側に平成8年7月、第1次オープン。その後、道路情報、気象情報、地域情報などを提供するための休憩ロビーと駐車場スペースを増設して、平成9年3月、本格的にオープンしました。
ここ安達町には高村光太郎の「智恵子抄」で有名な智恵子の生家や、約1000年の歴史をもつ上川崎の「和紙の里」(県重要無形文化財)、阿武隈川に沿って奇岩怪石が連なる景勝地「稚児舞台」などがあります。
「道の駅」とは、端的に言えばクルマが立ち寄る駅のこと。鉄道客の拠点が駅であるならば、道路の駅とはなんでしょうか?地域と道路が出会う場所として設計開発されたこのコンセプトはとても


ユニークなものでした。
建設省と農林水産省の連携施策「ふるさと交流拠点事業」の指定を受けた道の駅「安達〜智恵子の里」。もちろんその名前のとおり、この施設のコンセプトイメージは「智恵子抄」の智恵子ですが、その他にも注目すべき特徴が2つあります。
ひとつめの特徴は、安達町と建設省の共同事業による情報休憩ロビーの設置です。「情報提供」だけでなく、さまざまな出会いの生まれる交流空間「広場」の機能を重視したこの施設は、道路情報、地域情報の提供を行う「情報ゾーン」、
ドライバーがくつろげる空間「休憩ゾーン」、地域活性化と情報発信の拠点「コミュニティー・ゾーン」、地域物産の販売を行う「物販ゾーン」の4機能で構成されます。
もうひとつの特徴は、道の駅を訪れた人の8割が利用するといわれるトイレ施設です。第12回グッドトイレ10を受賞し「おもてなしトイレ」と名づけられたこの施設は、あらゆる人が快適に利用できるために機能面が充実していることはもとより、安達町の新しい「顔」となる道の駅のトイレとして、訪れた人に町のおもてなしの心が伝わるよう、地域ぐるみでの維持管理体制がとられています。
国道4号線のオアシスとして、また地域の新しい交流ステーションとして「智恵子の里」はこれからも成長していきます。
クレフヤードFXA型
サイクルポートSZ-A型
駐車場と施設を結ぶ3つの通路と二輪車パーキング
弓状に建てられた施設全景
天候を考慮したサイクルポート
<SZ-A型>

駐車場からトイレ施設と休憩ロビーへ導くアプローチ。雨・雪などの天候を考慮して設置された〈クレフヤード〉は、絶えず機能している道の駅だからこその配慮です
道の駅は夜間も機能しています
「グッドトイレ10」受賞のトイレ施設と休憩ロビーを結ぶ通路
11月10日は「トイレの日」
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