情報誌「ネルシス」 vol.10 2009

P-30 Project File[プロジェクトファイル]
P-46 Product Message[プロダクト メッセージ/シェルター]

P40-45
目次
2006年にユニバーサルデザインの手すりとして誕生した「サポートレールUD」。
手のひらにフィットする卵形ビームをはじめ、手触りのよい樹脂カバーや、手すりの終わりを伝えるエンドグリップなど、細部にわたり徹底的なこだわりをもって開発されました。
2008年には色弱の方にも認識しやすいようにとカラーユニバーサルデザインを導入。サポートレールUD〈カラーUDタイプ〉のアースネイビーとライムライトイエローは、背景とのコントラストをつけて手すりを一段と認識しやすくさせる新発想。カラー展開することで、さらにユニバーサルデザイン度がアップし、より多くの人に使いやすい、やさしい手すりになりました。
おかげさまで「サポートレールUD」シリーズは発売以来、高い評価を得て、数々の現場で採用されています。今回は設置現場の一例を紹介。さまざまなシーンで活躍するサポートレールUDをご覧ください。
2009年8月にオープンした5haにも及ぶ敷地面積をもつ公園。多目的広場や大型遊具のある遊び広場、ジョギングロード、イベント広場で構成されています。
遊び広場へと続く階段にはサポートレールUD〈カラーUDタイプ〉が設置されました。アースネイビーが淡いグレーのコンクリートに映え、カラフルな遊具ともマッチしています。

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P42
向中野横断地下歩道(岩手県盛岡市)
盛岡駅より車で5分程度の向中野横断地下歩道。地下歩道は4カ所の出入口とつながっています。階段や距離のある地下歩道には手すりが欠かせません。サポートレールUDは、お年寄りや子どもにも握りやすい設計で、目的地までの横断を助けます。
手すりの進歩 狩野 徹教授(岩手県立大学社会福祉学部)
1.印象(はじめに)
この手すりを展示会でさわってみたとき面白い断面だったので興味をもちました。盛岡に設置されたというのでゼミの学生4人と見に行きました。実際に使ってみたところ、全員フィット感の良さをあげ、「自然に握れて楽である」「上りのときに力が入りやすい」「手指と手首をリラックスさせ、つかむ・引き寄せる・放すがスムーズ」という感想が得られました。
 精査した分析・検証が必要と思いますが、卵形の断面そのものは現場で見ただけではわからなく、その良さは握って初めて円断面の手すりと「ちょっと違う」と感じる控えめな製品だという印象をもちました。

2.手すりの役割
手すりは移動の補助のツールですが、大きく2つの機能が必要とされています。主に水平移動で「軽く摺って」あるいは「体重をかける」使い方と、階段など上下移動などのとき握って「引っ張る」あるいは「支える」使い方があります。前者は「楽に」「必要ではないが安心のため」使うことが多いと思われます。後者は安全のため「補助が必要」なため使うことになります。公共空間、特に道路空間では、常に「補助が必要」な歩行者の場合、杖を使用することが多いと思われます。形状を工夫したり2段の手すりを設置するにしてもある一定の基準で設置され、すべての人に同じように使いやすいわけではありません。階段の昇降時などではその環境に応じて、
手すりの使用か、杖で昇降するかを判断すると思われます。卵形断面の手すりは握ったときに自然にフィットするのでその分評価が高くなると思われます。
 また、手を添えておくだけ、摺りながら移動するときは円断面の手すりと同じでスムーズに使え、円断面の手すりより手に自然にフィットする点有利であると思われます。多種類の手すりを見てきましたが、この卵形断面の手すりは個人的には十分良い評価をしたいと思います。
 また、手すりの副次的な機能として、ガイドラインとしての役割もあると思います。カラーユニバーサルデザインを配慮したことで、より多くの人が手すりを認知しやすく方向性も示せるのでガイド効果もあると思われます。階段においては混雑時の階段昇降で階段そのものが
見にくくても手すりに沿って昇降していれば先が見やすく、階段部分、踊り場部分の判断がしやすく方向性も認識しやすいと思っています。
3.手すりに望むこと(おわりに)
ユニバーサルデザインという考え方が普及し、さまざまなタイプの手すりが開発・提案されるようになってきています。あるニーズを解決すると次のニーズが生まれると考えています。このような深く考えられた手すりが出てくると、さらに厳しい要求が出てくると思われます。一般市民も研究者もメーカーも常に「もっと良いものがないものか」ということを考え、意見、情報を交換し良いものが開発されていくことを期待しています。

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ユニバーサルデザインで人にやさしい環境を


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