地球環境時代に入り、空間づくりに求められる質は高まるばかりです。
無駄をなくし地球に負荷をかけない取り組みが提唱されている今、空間に求められているのはシンプル&スマート。
それは周辺環境を生かし、美しい景観づくりにもつながっていきます。
TOEXは、新しい時代を見つめ、景観になじむ商品の開発を進めています。
それはデザインだけでなく、使いやすさを考慮した機能性も兼ね備えていなれば意味がありません。
人々にやさしい環境を提供したい、TOEXはそんな思いでまちづくりをお手伝いしています。
第1見学広場の右手は、主力坑だった第二坑口のある山。迫力ある風景に圧倒されます |
近代化遺産として新たな歴史を刻みはじめた軍艦島
軍艦島は長崎市(旧高島町)にある端島の俗称で、長崎港から南西へ約19km、対岸の長崎半島野母崎から西へ約4.5kmの海上に位置しています。南北に長さ約480m、東西に幅約160mで、島の周囲は約1200 m、面積6万3000m2の小さな島です。 1810年ごろに石炭が発見され、1890年から三菱合資会社の経営によって本格的な海底炭坑として操業が開始されました。採掘作業は水面下1km以上にまで及び、採掘された土砂で島の周辺を埋め立て、高さ10mの護岸堤防を巡らしています。その上に従業員のための高層アパートが林立する姿が、 
遠くから戦艦に見えたことから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。 最盛期は5000人を超える人が住んでいたといわれ、彼らの生活のようすを撮影した写真家・奈良原一高の写真展『人間の土地』(1956年)で、「緑なき島」として軍艦島の生活が一般に紹介されました。しかし、1960年代からのエネルギー改革で合理化が進められ、1974年に閉山、無人島となったのです。 それから35年。2008年より桟橋や島の南西部に約230mの見学用通路が整備され、2009年の4月22日に上陸解禁。再び私たちの眼前にその姿を 
現すことになりました。島への入口は、1962年に造られたドルフィン桟橋と呼ばれるコンクリートの塊を活用することになり、船着場として補強整備されました。 ドルフィン桟橋から島に渡る新たな桟橋と、続く見学用通路に、TOEXの防護柵「PO」が500mほど設置されました。海水や海風にさらされる厳しい環境に耐え得るアルミ製品は、美しさを保ちながら来訪者の安全を守っています。
 商品データ
「柵」PO4-20-11W
Q.2009年の4月22日から軍艦島に上陸できるようになりましたが、その主な目的はなんでしょう?
A.まずひとつは軍艦島を観光資源として活用していくということです。もうひとつは日本の近代化に果たした役割を肌で感じていただきたいという教育的な目的があります。それと併せて、軍艦島を中心に、1710年に佐賀藩によって開発された炭鉱の島で現在は石炭資料館のある高島、約2000種類の亜熱帯植物を有する植物園のある野母崎など、周辺地域の活性化を図ることです。 
Q.上陸解禁の4月からこれまでに、どれくらいの来訪者がありましたか?
A.すでに1万人は超えていると思います。年間の上陸可能日数をおよそ100日と算定していて、その間の目標来訪者数を2万5000人にしていますが、7月5日時点で、1万3835人と、約3カ月で目標の半数に達しています。
Q.見学用通路からはどんなものが見られるのでしょうか?また見どころは何ですか?
A.見学用通路はドルフィン桟橋から島の南西部に 
約230mあり、第1見学広場、第2見学広場、第3見学広場の3つのポイントがあります。見どころはレンガの建物で、当時は総合事務所として使われ、1階には共同浴場があったそうです。浴場では、まず海水を沸かした塩風呂で体についた炭を流し、体を洗って最後に真水の風呂に入ったと聞いています。第3見学広場からは、30号アパートといって、7階建ての高層アパートが見えます。 
1915年に建設された日本で最初の鉄筋コンクリート造の高層住宅で、「グラバーハウス」とも呼ばれていたそうです。共同浴場や理髪店、郵便局も設置されていました。いずれの施設も中に入ることはできませんが、広場から眺めることができます。
Q.上陸の評判はいかがですか?
A.来訪者の方々にアンケートを取ったところ、90%以上が「上陸できてよかった」「満足」という結果でした。若干ですが、「もう少しいろいろ見たい」とか「見学時間が短い」という感想もありました。 
1時間という見学時間は、船の占有時間の関係でそうなっていますが、1時間あれば見学コースをゆっくり回ることができると思っています。
Q.通路や広場のバリアフリー化に取り組まれていますが、これからの課題は?
A.見学コースは幅2mのコンクリート舗装で平たん性を保っているのでバリアフリーになっていますが、船自体がまだバリアフリーに対応していません。船のタラップの幅が90cm以上ないと車いすが通れませんし、階段も人力で上げるしかない状態です。 
ガイド以外に、救急救命と車いすの介助研修を受けた安全誘導員が、お客さん20人に対して1人ついているので、今後は船会社と協力して車いすにも対応していきたいと思っています。
Q.これから軍艦島をどんな観光地にしていきたいと思われますか?
A.また来てもらえる観光地にしたいですね。そのためにも、もっとサービスを向上させていきたいと思っています。たとえば近隣の観光地との連携を図り、相互に宣伝し合うなど心がけていきたいです。

 軍艦島へのアクセス方法
■周遊上陸コース 長崎港巡り遊覧船マルベージャで所要時間180分(要予約)。4月22日〜3月31日(全日1日2便) 料金/4300円(入島料300円込み) 【予約先】やまさ海運株式会社TEL.095-822-5002 高島海上交通では2009年7月から個人での乗り合いも可【予約先】長崎国際観光コンベンション協会 TEL.095-823-7423
■軍艦島施設見学料(入島料) 一般(12歳以上)個人300円、団体(15人以上)240円 小学校の児童 個人150円、団体(15人以上)120円
■観光の問い合わせ 長崎市文化観光総務課―TEL.095-829-1152 長崎市さるく観光課―TEL.095-829-1314 長崎市観光案内所―TEL.095-823-3631
左/都内で民間初となる広告付きバス停留所上屋。渋谷の街に合うスタイリッシュなデザイン 右上/新しい4基のバス停は渋谷駅前のロータリー沿いに設置 右下/屋根にはアルミを使用。LEDを桁の内側に隠し、新色の「ナチュラルシルバー」で美しい仕上がりに
 若者をはじめ多くの人でにぎわう渋谷駅周辺
 照明はLED。明るく寿命が長いのが特徴
都会を行き交う人々をスマートにサポート
109をはじめとしたファッションビルやショップが立ち並び、若者に絶大な人気を誇る渋谷。1955年ごろより高層ビルが立ちはじめたことで副都心化が進み、1964年のオリンピック東京大会を契機に道路が整備され、渋谷の街は大きく変貌を遂げました。今話題の「東京ガールズコレクション」が国立競技場代々木第一体育館を中心に開催されていることからも、渋谷が若者のトレンド発信地であることがうかがえます。 2008年6月には東京メトロ副都心線渋谷駅が開業。日本の代表的建築家・安藤忠雄氏による駅が話題を呼びました。ファッションだけでなく、 
街中を会場にした渋谷音楽祭など、文化的な取り組みも積極的に行われ、日本の今を体感できる街として、外国人観光客にも人気のスポットとなっています。 多くの人々が行き来する渋谷には、JR東日本、東京急行電鉄、京王電鉄、東京メトロが駅を構えています。JR渋谷駅南改札を出ると、東急プラザを正面に西口バスターミナルが広がり、途切れることなくバスが運行。待ち合わせ場所として知られるモヤイ像近くに、都内では民間バス会社初となる広告付きバス停留所上屋が登場しました。施主である東急バスさまでは渋谷の街並みや 
景観を美しくするための取り組みを積極的に進めています。薄くスリムなフォルムが特徴的な屋根は、桁に東急バスさまのコーポレートカラーであるオレンジのラインを施した印象的なデザイン。ほかにはない新しいバス停留所が情報発信地らしさを伝えています。
 アクセス
JR渋谷駅下車
 商品データ
「シェルター」ステンレス製オリジナルシェルター(広告ボード、ベンチ)
今回の広告付きバス停留所上屋は、一からつくるオリジナル商品ですが、東京都のガイドラインに沿わなくてはいけませんでした。東急バスさまと徹底的に話し合い、規制があるなかでもデザインにこだわりました。屋根はアーチをかけてもよかったのですが、指定の幅が中途半端なこともあり、 
思いきってフラットに。屋根に使用したアルミ形材には輝きが美しい新色の「ナチュラルシルバー」を採用し、シックで質の高い雰囲気に仕上げています。ほかにも屋根の照明は、LEDを桁の内側に隠してビスが見えないよう工夫するなど、土木的なイメージを脱した、シンプルでシャープなデザインを目指しました。 TOEXはメーカーですが商品を納めて終わりではありません。きれいに設置されて、初めてお客さまに評価していただけます。こうしたオリジナル商品は取り扱い説明書がなく施工も複雑です。 
現場に立ち合わせていただきましたが、日中はバスが運行しているため工事は夜間になります。夜中1時半から早朝6時までの限られた時間で、数日間かけて完成させました。その甲斐あってデザイン性の高い機能的なバス停をつくることができて、うれしく思っています。
 海岸沿いに続く木目調の柵が、気持ちのいい空間を演出しています
 海を身近に感じながら通行できます
人々を迎える、沖縄の玄関口
沖縄は本島と石垣島、宮古島などの有人島と無人島を合わせ、160余りの島からなっています。独自の気候、歴史、文化をもつ南の島は、沖縄の方言で美しい島を意味する「美ら島」と親しまれ、年間500万を超える人々が訪れる人気の観光地です。日本で唯一、亜熱帯気候に属し、平均気温22.7℃、真冬でもほとんど10℃を下回ることのない温暖さと、オキナワンブルーの海をはじめとした豊かな自然環境が魅力のひとつ。近年では移住してくる人も増えていて、人口増加率は全国でトップクラスを誇ります。 
明治時代まで450年間続いた琉球王国をしのばせる首里城や石畳、琉球古典音楽、やちむんと呼ばれる焼き物、海底遺跡、空手・古武術……。マリンレジャーのほかにも、本土とは異なった文化や空間が楽しめ、沖縄ならではのゆっくりと流れる時間に身をゆだねると、心身ともにリラックスできる魅惑の地です。 沖縄の玄関口、那覇空港から程近い那覇臨港道路は、メインストリートの渋滞緩和や物流機能向上のために2008年9月に開通しました。海が一望できる見晴らしのいい道路沿いに 
続くTOEXの柵。青く広がる海や空といった自然あふれる風景に、木目調が溶け込んでいます。見た目のやさしさだけでなく、耐久性のある人工木材を使用しているので、強い日差しなどの影響も受けにくいのが特徴です。美しくまっすぐに続く道が、訪問者の期待をふくらませます。
 アクセス
那覇空港から車で約5分。国道58号線
 商品データ
「柵」楽樹LJ型
いくつもの円がアクセントになっているデザインパネル。表面はフッ素樹脂塗装で耐久性に優れています
 上/正面に採用された引戸。白くシンプルなデザインがさわやかなイメージ 下/引戸の操作押しボタンは片側の電動柱に集約。キーを差し込まないと操作できない、防犯性を備えた構造
平穏な暮らし守る、治安の拠点
千葉市は東京湾の湾奥部に面し、県のほぼ中央に位置する政令指定都市です。千葉県庁が所在する同市中央区は市の行政区のひとつで、県庁をはじめ千葉県警察、市役所、地方検察庁などの行政機関が集まっています。また、JR千葉駅を中心に商業施設、文化施設が充実し中心市街地としてのにぎわいを見せるほか、房総半島一帯の交通の要所的な役割も果たしています。 地域の大規模再開発が進むなか、千葉県警察は本部庁舎の老朽化などに伴い、 
新庁舎の建設を実施。2009年6月に移転しました。 新庁舎は、事件や事故に迅速に対応できるよう最新技術を取り入れた通信指令システムを導入。また、ヘリポートや、震度7まで耐えられる免震構造、自家発電装置を備え、防災拠点としての機能も併せ持っています。建物は、県庁舎エリアという環境を配慮してファサードデザインの調和を図り、堅牢さと明るい開放的なイメージを兼ね備えた、品位・風格のある端正なデザインとなっています。 庁舎の入口となる 
正門には電動引戸が採用されました。一見すると両引きのようですが、車用通路と歩行者通路とで別々に引き込める機能的なつくりになっています。さらに、庁舎側にあるキースイッチを解除しないと開かない安心な仕組み。引戸のデザインは、庁舎の設計者である日本設計さまと打ち合わせを重ね、庁舎屋上部分の庇のモチーフを取り入れました。白くシンプルなパネルをくり抜いた丸いデザインが柔らかな印象を与えています。
 アクセス
千葉都市モノレール県庁前駅下車
 商品データ
「引戸」ジャンボスライドAL型(特注)
 庁舎の庇と引戸の デザインを統一
 電動式引戸は全部で4基設置してあります
|