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官・民・学が協力してすすめる |
自然再生事業 |
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日本列島の背骨をなす山脈から海にいたるまで、それぞれの場所にふさわしい自然の豊かさが失われ、人々と自然との関係も疎遠になりつつある。それぞれの地方の自然に支えられてきた私たちの生活や文化までもが貧しいものとなってしまうという深刻な危機であるともいえる。特に日本の特徴的な自然ともいえる水辺では、生物多様性の危機の進行が著しい。
これらの危機を乗り越えるにはどうしたらよいのか、国家戦略には、そのためのみちすじや方針・方策が述べられている。危機は多様な原因から生じ、産業構造の変化、伝統的な営みの喪失などとも深く係わっている。そこで、従来のように保護区などで自然を守ることに
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加えて、里山や農村地域の自然の保全や管理の活動をさまざまな面から多様な手法で支援することや、自然がすでに失われてしまった場所でその再生を目指して官・民・学が協力してすすめる自然再生事業などが提案されている。身近な自然や環境について学び合う、生物多様性保全のための学習や、これまで十分とはいえなかった自然環境についてのデータを飛躍的に増やすことなども方針として掲げられている。
現状をしっかりと科学的に把握し、その情報を広く国民が共有することなしには、生物多様性の保全は不可能だからである。自然環境に関するデータを充実させ、日本列島における生物多様性の変化を広く監視するため、全国1000ヶ所に国設のモニタリングサイトを設けるという、斬新なプランも |
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記されている。 自然再生の事業は、すでに自然が失われてしまった場所で、NPOや市民と行政が協働し、健全な生態系を取り戻すことを目的として順応的手法にもとづいてに実施する取り組みである。
水辺がコンクリートで護岸され、ウエットランドが埋め立てられ、水質の悪化もあいまって、日本の水草の3分の1が絶滅の危険にさらされている。そのような水辺の再生をめざす自然再生事業はすでに霞ヶ浦で進められている。多くの市民や学童の参加を得て進められているアサザプロジェクトである。シンボルとされている水草のアサザは絶滅危惧種である。失われた生育場所を再生し、科学的な知見にもとづきながら個体群の回復が図られている。 |
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