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失われた緑への悲しみと、 それを少しでも取り戻せたらという 足尾に関わってきた人々に共通する 切実な願いが、
環境意識の高まる時代のなかで 徐々に一つに融合し、そして大きな力となった。 閉山し23年が経った1996年、 足尾銅山の公害問題を訴え続けてきた
いくつかの市民グループらが 「足尾に緑を。渡良瀬に清流を」 のかけ声のもとに結束し、ボランティアを集い、 禿山に木を植え始めた。 |
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第1回植樹会には150人が参加。 初めての植樹で石ころばかりの荒廃した大地に驚き、 戸惑いと不安を覚えた |
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夏の手入れ。 亜硫酸ガスにより酸性化した土壌を 中和させるために石灰を撒く |
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下流の渡良瀬川遊水地からは 土壌再生に使うヨシが 持ち寄せられる |
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植林にはかつての足尾鉱毒により被害を被った 渡良瀬川下流域の住民らも数多く参加している。 上流の足尾に森を育てることは、下流域の自然再生にも繋がってゆくのだ。
上下流域の人々が公害による互いの わだかまりを乗り越え、 再び川の繋がりのもとに集結し、森を育てる。 それは、世界的に環境の危機が叫ばれる現代のなかで、
常に公害の暗い歴史を背負ってきた足尾の禿山を、 市民らの力でより価値のあるものに 転換してゆこうとする新しい流れの始まりでもある。 |
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