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当社に環境エクステリア部門が発足して20年。さまざまな素材を組み合わせた独自のものづくりを通して、公共資材のメーカーとしても認知されるに至った経緯と、21世紀の公共市場にどう切り込んでいくのかを環境エクステリア統轄部長・奈良保が語る。 |
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東洋エクステリア株式会社 環境エクステリア統轄部長 奈良 保 (談)  |
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1951年山梨県生まれ。77年東洋エクステリア(株)入社。営業畑を歩み、84年東北支店長を経て、94年環境エクステリア統轄部長に就任。現在、常務執行役員 環境エクステリア統轄部長。 |
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「環境エクステリア」の始動
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東洋エクステリアが住宅向けのエクステリア資材メーカーとして創業したのが1974年。その後、公共事業向けまで販路を広げたのが83年で、今から20年前のことだった。当時扱っていた商品はまだまだ少なく、防護柵やネットフェンスなどを主に販売していた。このころはまだ、住宅エクステリア部門のなかで公共資材を扱っているということで「特販事業部」という名称だった。
当時から、東洋エクステリアでは「自然が未来」という企業理念をうたい、
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単なる商品販売の会社にとどまらず、自然を暮らしに取り入れた住まい方を提案するといった、新しいエクステリア事業のあり方を模索していた。そうした状況のなかで特販事業部も「景観」という枠にとらわれず、「自然環境までも考えた商品」という大きなビジョンを持って地域の環境を提案していこうと、86年「環境エクステリア」という名称で本格的に部署を立ち上げた。
私自身は東京で住宅エクステリア部門の営業をした後、東北支店の支店長を務めた。当時はまだ住宅部門のなかで数少ない環境商品を扱う程度だったが、そんななか、今でも記憶に残っている印象深い商品が、87年発売のノンレール引戸だ。 |
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その商品を最初に見た時は驚いた。スチールの長い本体が宙に浮いているように見える、そんな斬新な姿から、当時はバランス引戸なんて言い方をされていた。 この引戸の第一号の納入先は、東京都内の盲学校だった。目の不自由な生徒がレールにつまずかないように、というのが採用理由だったそうだ。
これが好評でその後、学校の門以外にもノンレール引戸の需要が増えていった。【写真1】 東北支店長を10年務めた間、住宅部門では戸建て住宅の門扉・フェンスが主力だったが、防護柵などの土木資材も取り扱うようになり、私は次第に公共という分野に関心を持つようになった。 |
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そんな折、当時の営業本部長から「環境の方を本格的に勉強したらどうか」という勧めがあった。そのころ会社は「住宅エクステリア」「自然浴エクステリア」「環境エクステリア」という3つの柱を築こうとしていた。そのなかで私がまだ経験していないのは環境エクステリアだったこともあり、本格的に公共資材を扱ってみようと決め、93年、環境エクステリア部門の西日本担当部長に就任した。 |
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 【写真1】都立の盲学校。商品は現在「スチール製ノンレール引戸NH」の名称で販売している |
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【写真2】 摩周湖展望台(北海道) 「楽樹B型」(現在は「BN型」) |
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オリジナル商品の創造
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80年代後半の環境部門は、ノンレール引戸というヒット商品が出たものの、売上はまだ低迷していた。その状況に奮起した当時の部長が、住宅商品であるカーポートを工夫して、バス停や屋外通路用に利用できる「サイクルポートシェルター」という新アイテムを増やしたことが突破口となり、急激に売上が伸びていった。そして90年代に入り、ようやく環境専任の開発チームが組織された。この開発チームが柔軟な発想を持っており、
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土木メーカーとしては珍しく、さまざまな素材に着目した商品開発が進められた。 なかでも、木のぬくもりを表現するために木とアルミを組み合わせた防護柵「楽樹」(93年発売)は市場のニーズをつかんだ。木だけでは腐りやすく、強度の面で問題があったので、アルミを構造材にして木で化粧をするという、両方のいいところを掛け合わせて生み出された商品だ。
その「楽樹」の良さが生かされている施工例が北海道の摩周湖の展望台だ。 本来、柵は人が落ちないという機能だけで十分だが、 |
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摩周湖を見にきた人たちは、雄大な景色と共に柵が目に入るから、風景によりなじんでいることが大切だ。景観をじゃましないこと、そして安全性が保たれていること、 両方を伴っていなければならない。
「楽樹」のような複合商品は今まで市場になく、これが「景観材」として認知されヒットしたことは、環境エクステリアの商品開発において一つの布石となった。それはアルミ、ステンレス、スチール、木など、多くの素材を組み合わせるスタイルが、東洋エクステリアの環境商品の強みとなり、独自性となっていったからだ。【写真2】 |
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21世紀に向けて
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いよいよ21世紀の幕が開けるというころ、この先の公共事業がどう変化するかを注視した。周りを眺めると、一つの商品がたくさん売れる時代ではなくなってきていた。多種多様な現代のパブリックシーンに向けて、それに対応できる幅広い商材をそろえる必要があった。
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 【写真3】由利高原鉄道
矢島駅前広場(秋田県)「自然浴さんぽ路1型」 |
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そこでこれまでにないチャレンジ精神で取り扱い品目を拡大した。人々を誘導し案内するサイン、自然景観になじみ耐久性を兼ね備える擬木や擬石製品、パブリックトイレなど、より人々に安全や安心、快適性や利便性を提供する商品を増やした。
なかでも「自然浴さんぽ路」は画期的なエクステリア商品となった。屋外用の歩道板を裸足で歩いてストレス解消や健康づくりに役立てようとするコンセプトは、従来のどのカテゴリーでもくくれないもので、新しく「健康資材」として世に問いかけた。子どもからお年寄りまで、公共空間を利用する誰もが
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気軽に、心身のケア、リラックスできる場、交流の場として、より積極的に活用し、楽しむことを提案する商品だ。【写真3】
一方で市場の切実な要望をキャッチして大ヒットさせたロングラン商品が、屋外用手すり「サポートレール」だ。従来は「現場合わせの特注品」として施工されていた屋外手すりだったが、柱・ビーム・ブラケットという部材のユニット化による規格商品を生み出した。加えて「バリアフリー、ユニバーサルデザイン、高齢社会」というキーワードのもと、ボルトの突出を無くすなど品質向上に努めた。ユニット化により施工性もアップして、 |
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瞬く間に公園、交通シーンのスロープや階段に取り付けられていった。さらに生活道路や商業区域にまで市場を広げ、手すりの先行メーカーとして揺るぎない地位を築いていった。
ステンレス製の1型を出した後、より優しい感触を追求して、冬でも冷たくないように手すりの表層に木粉樹脂を施した2型を追加した。そしてこの秋には機能性・施工性・デザインをさらに充実させたアルミ製の3型を発売する。今後もより使い勝手の良い商品を目指して開発を進めていきたい。【写真4】
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わが社の開発部隊がいる長野県駒ヶ根の研究所には、環境部門が運営する体験型展示場「KAP」があり、擬木、擬石製品やサイン、自然浴さんぽ路やサポートレールシリーズなど、すべて実際に使って検証してもらうことができる。これはお年寄りから子どもまで、誰もが快適に過ごせる公共空間を目指し、実際の使い勝手を利用者に試してもらい、商品開発に生かすための施設でもある。設計者が実際にその気持ちをくみ取れるよう、高齢者体験シミュレーターや、手動・電動車椅子なども用意している。
毎年展示品の入れ替えを行っているが、今年はグループ会社である(株)INAXの床材を組み合わせて、より実験的な視点で「スロープ・階段体験コーナー」をリニューアルした。規格商品の展示だけではつまらないので、提案型、実験型商品を増やし、ものをつくる人、選ぶ人、利用する人、さまざまな立場の人が意見交換する場、未来のパブリックシーンを考える場として活用していきたい。【写真5】 |
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 【写真4】千原台第二公園(千葉県)「サポートレール2型」
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 【写真5】長野県駒ヶ根にある体験型展示場「KAP」 |
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事業を支えるネルシス哲学
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20年前にハード素材から始めた環境事業に、今新たな転機が訪れようとしている。2000年に提唱した環境エクステリア部門の指針「Nelsisネルシス」は、Nature(自然)+Element(自然力・恵み)+Oasis(やすらぎ空間)という3つの言葉の組み合わせから「人と自然がともに呼吸しあえる総合的な
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環境づくり」を表現したものだ。私たちが考える理想の環境を実現させるために、社員が志を共有する指針であり、外部に発信する事業哲学である。 あくまでもネルシスは人が中心で、人と自然のかかわり、共生が大切だと考えている。ネルシスは環境が人にもたらす可能性を探っていく、長い長いプロジェクトでもある。ただの商品提供ではない、ものづくりを通した環境づくりこそ、私たちが目指す事業であることを、 |
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この哲学は支えている。今はまだプロセスの途上だが、この先は自然の循環までを見据えた環境事業を考えていきたい。川の水質浄化が進み、土壌汚染の浄化も進み、さらにCO2の削減が進んだ、そうなった後にどうするか? 川がきれいになったら、そのきれいになった川で遊び、学べる環境をつくる。その環境に人々がより良くかかわれるような仕事をして、名実ともに環境をサポートする企業になりたいと思っている。
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■当社が取り組む環境方針 |
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─ 基 本 理 念 ─ |
“自然が未来”を企業理念に掲げる東洋エクステリアは環境に配慮するエクステリア総合企業として、かけがえのない地球環境保護と人々の住生活向上に積極的に寄与する事により、社会と地域に対する責任を果たします。 |
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─ 取 り 組 み 指 針 ─ |
地球環境への負荷を低減します。 |
当社の事業活動が与える地球環境負荷を低減させる為、環境目的、環境目標を定め、定期的・定量的に見直しを行い、具体的な行動計画を策定して実現を図ります。 |
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a)当社の全ての事業活動において、当社が与える環境影響について、自主基準を整備し、適正に評価し行動します。
b)全社環境委員会を中心として組織的な継続的改善及び汚染の予防を実施します。 c)環境関連法規及び当社の関連要求事項を遵守し行動します。 d)活動の実績について定期的に点検・見直しを行いフィードバックを掛けます。
e)全社員が環境経営に取り組むことのメリットや社会的意義に対する理解を深めるための教育訓練及び啓蒙活動を実施します。 f)環境への取り組みに関する情報公開を積極的に行います。
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─ 具体的な推進項目 ─ |
1.地球環境負荷低減の為に、省エネルギー化を推進します。 2.資源の有効利用をめざし、廃棄物の削減を推進します。
3.商品が与える環境負荷低減のための商品を開発します。 |
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