情報誌「ネルシス」 vol.6 2005

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P-02 [特集]みなとを生かすまちづくり 21世紀のランドスケープ・エコロジー

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プローラの海岸にある巨大リゾート跡
バルト海に面したドイツ最大の島であるリューゲン島は、古くから北欧を結ぶ海港であった。
白亜石の断崖が切り立つシュトゥーベンカマーは美しい稜線を魅せる。
19世紀にドイツ・ロマン派の巨匠C・D・フリードリッヒが訪れ『リューゲン島の白亜石』を描いた。
しかし20世紀になるとプローラの海岸にナチスが全長5km、
2万人を収容する巨大海洋リゾートの建設を始めた。
戦争で工事は中断され、戦後は東ドイツによる軍事施設となり、
ベルリンの壁崩壊後は軍事博物館などに利用される数奇な運命をたどる。
海と島は、A・ベックリンの『死の島』のように神秘主義やロマン主義の幻影を招来させる。
それが負のエネルギーに引き寄せられると、恐ろしい廃園の光景となる。
現在は旧東地区の閑静な避暑地としての落ち着きを取り戻し、
海岸にはたくさんの老夫婦が穏やかな長い休暇を過ごしている。
文・写真…シヲバラ タク