情報誌「ネルシス」 vol.10 2009

P-22 自然や歴史的景観の保全活動が観光資源を生み出す
P-28 ネルシス10周年記念対談

P26-27
目次
ネルシス10周年記念インタビュー
不況をチャンスと捉え、新たな挑戦へ 東洋エクステリア株式会社取締役社長 福田功
1974年11月に設立された東洋エクステリア(呼称:TOEXトエックス)は、自然の恵みを生活に取り入れた“自然浴”という暮らし方を提唱し、健康的で快適な生活環境づくりを進めてきました。現在、事業部門は「住宅エクステリア」「自然浴エクステリア」「環境エクステリア」の3つのフィールドから構成されています。そのなかの「環境エクステリア」部門は、施設外周のフェンスや引戸、バス停や通路のシェルター、車止め、河川や道路の柵など、公共空間のさまざまな商品を扱っています。
本誌『ネルシス』は、この環境エクステリア部門が年1回発行する情報誌で、今年で10号を数えました。発刊10周年を記念して弊社社長が、メーカーの使命と未来への抱負を語ります。

経営の基本に立ち返ることが大切
近年、大変な不況にみまわれ、建設業界全体をみても、この先、状況が短期的によくなる可能性は低いと思われます。一方では少子高齢化がどんどん進み、大きな政策転換でもしない限り子どもの数が増えることは難しいでしょう。そこから出てくる需要ですから、限界もあります。こんな時期こそ、経営の基本に立ち返ることが大切です。では基本とは何か。新商品をしっかり世の中に出し、コストダウンを図り、それを評価してくださるお客さまをつくる、ということだと私は考えます。
 家の新築着工戸数は、2006年度で約128万5000戸ありましたが、2009年度では80万〜85万戸になろうとわれわれは予想しています。関連する業界においては3年間で約45万戸分の需要がなくなるという厳しい状況が生まれています。ですから本当にお客さまの声を聞き、限りなくムダをなくし、
代理店・販売店さまと共に活動した経営にしていかないと淘汰されてしまう、ということです。
新幹線型の会社運営
生き残っていくためには、少数精鋭で利益を重視した会社にしていく必要があるでしょう。私は例えて「新幹線型経営」という話をよくします。これまでの会社の多くは、社長が機関車のように後ろの車両をぐいぐい引っ張っていく、という形態のものが多かったように思います。ところが新幹線というのは車両ごとにコンピュータが搭載され、16車両それぞれの力を合わせて時速300kmというスピードが出るのです。そのほうが効率がよく、強さも出せるわけです。職場でも同じように、社員ひとりひとりに力をつけてもらわないといけない。ひとりひとりが目標をもち、方針書をつくり、それを実行する。その結果を上司がサポートしていくような会社にしたいと思っています。
 実際、少しずつそういうスタイルになってきているので、これから進むべき方向としては大丈夫でしょう。全社員が変わってきているような気がします。
 また、私が中心となって定期的に、商品開発や生産業務関係の管理職指導会をやっています。営業部門の報告会にも毎回参加し、さらに全営業所・支店に出向いて社員の報告を聞いています。開発、業製、営業という3分野における中心的なメンバーの方針管理や報告を聞くなかで、それぞれがしっかり機能していることを感じています。

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新たな販売網の確立を
目指す
一般に住宅工事は65%が新築で、残り35%がリフォームという割合です。私たちの商品販売は、新築の場合はほとんどが全国の代理店・販売店さまを通して流通しているので、ルート販売網が確立しており、これまでもかなり高い評価をいただいています。
 しかし今後は新築の減少を見越して、リフォーム関連を強化していく必要があります。リフォームのエンドユーザーである生活者の皆さまにTOEXという企業をもっと知っていただくために、今年の9月から大橋のぞみさんを起用したテレビCMを流しています。
JR小倉駅(福岡県)
JR秋田駅(秋田県)

成田空港(千葉県)
コスモポート種子島(鹿児島県)


そのCMを基点にして、一般雑誌やラジオを活用したクロスメディア戦略を立てています。
 TOEXでは一般ユーザーさまに直接販売はしていませんので、CMでご覧になった商品の購入方法がわからない場合は、TOEXのホームページから、当社のエクステリアリフォームのネットワークである「自然浴deくらす登録店」のページにアクセスしていただき、お問い合わせいただくという流れをつくり、新たなお客さまの対応をしていきたいと思っています。お電話の場合でも、建築関係のプロではありませんから、
一般ユーザーさまのお問い合わせにわかりやすくお答えできるよう説明の仕方を工夫するなど徹底しています。このようにメーカーとしての取り組みを一般ユーザーさまに広げていく作業を進めています。
人々が行き交う
公共空間での役割
港湾や駅前、学校や公園など公共の場所に設置されたTOEXの商品を見るとうれしくなります。販売店さまからも、公共の場で使われている信頼度を強みにしていきたいという声を
よく耳にします。
 これまでの公共事業は景気浮揚策がほとんどでしたが、現在は「豊かな都市づくり」のための公共事業、という動きが出てきています。インフラの整備から質を重視した公共空間の2度目の進化を遂げる時代に入ってきたと言えるでしょう。ですから価格競争ではなく、豊かな都市をつくるために外構資材はどうあるべきか、住宅で培ってきた美しいエクステリアの実績から、景観にマッチするものが提案できると信じています。
 当社は住宅エクステリアではトップメーカーですが、

エクステリアは個人の住宅だけでは完結せず、都市空間にまで広がります。今後はエクステリアメーカーとして、街全体を美しく、機能的で、しかもエコロジカルであるものを提案していく役割があります。
 そういう意味では、環境エクステリアもキラリと光るメーカーを目指して、今後も拡充できるのではないかと思っています。
 先日、通りかかった東京駅のタクシー乗り場で当社のシェルターが設置されているのを見てとてもうれしく感じました。渋谷駅前のバス停にも使われていますし、秋田駅の230mほどのロータリーのシェルターもTOEX商品です。ほかにも、
小倉駅前や種子島空港、成田空港など多くの人が行き交う空間で採用していただき、今後も公共空間におけるひとつの担い手になりうると思っています。
 また、公共空間を重視した戦略を打つことで、新たな市場が開拓できます。ここ数年は厳しい状況が続くと思われますが、社会の担い手という意識をもって邁進していくつもりです。
環境分野でもリーディング
カンパニーを目指して
まずは人ありきと考えています。社員個人のレベルを上げ、その上に新商品やルート開拓が重なって盤石な体制が
生まれると思っています。社員ひとりひとりがしっかりした商品知識をもち、皆さまにわかりやすくアピールすることができれば、企業イメージは後からついてきます。現在、商品開発や営業においても、住宅部門と環境部門の垣根なく協力できるような体制づくりを進めています。個人の住宅エクステリアもTOEX、一歩外に出た都市空間もTOEX。同じ品質と美しさをもつ商品ですばらしい街並みをつくる企業になることが夢です。
 TOEXは今後も、時代の変化に対応するのではなく、変化を起こす企業を目指していこうと思っています。

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