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デザイン展開
 ユニバーサルデザインの具体的な展開については特に案内、誘導のためのサインについて「こどもの国」独自のデザインを行っている。独自のデザインとは視覚、触覚、聴覚各々の感覚によって案内、誘導が可能であるとともに個別の施設がこどもの国にふさわしい形態、素材であることである。独自のものとはいっても機能しないものでは意味がないので案内、誘導施設などの満たすべき要件について県内の福祉施設へのヒアリング、専門家のアドバイスをもらいながら設計を進めた。
視覚に対しては各「小国」や個別の遊び場等のようすを楽しげに連想させるために各種のピクトをデザインしている。「小国」のテーマとする素材(溶岩、木等)、それぞれの場所の地形、活動イメージなどをデフォルメしてデザインしている。
触覚に対しては案内、誘導に使用しているサインのピクト、矢印、現在地表示等すべてに触知可能な凹凸をつけている。触って想像する楽しさを生み出すために点字による表示は補助的なものとして位置づけた。
園路の誘導については |
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白杖利用者のための誘導ガイドを周辺の施設、環境に合わせた素材(溶岩、丸太等)を選んで設計している。交差点等の注意喚起ブロックは一般的な点字ブロックではなく、自然素材(玉石)による凹凸でデザインした。
聴覚に対してはサインを配置した場所に合わせて風鈴を取りつけている。 これらのサインとともに休息のためのベンチや木陰を配置し、歩行者ルート上の小広場(塚サイン)をつくっている。ここではみんなが同等に情報を得ることができ、地域を特色づける草花や溶岩に正・われるように配置し、休憩しながら自然の要素と触れ合うことができるなど、園内のユニバーサルデザインの要素を集合させた場所となっている。
 障害者を交えたワークショップ
 工事がある程度進んだ段階で視覚障害者と車椅子利用者に工事現場に来てもらい、試験施工区間を使って実地体験によるワークショップを行った。目的は、舗装、案内施設、誘導施設等が実際に機能するかどうかを確認するとともに、公園に来てみて感じた |
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ことや素朴な要求を聞き出し、設計内容にフィードバックすることであった。そのためワークショップ参加者には自然環境との関係、テーマとしている素材等「富士山こどもの国」で大切にしている考えを説明し、できるだけ公園についての理解を深めてもらうようにした。
参加者からは施設の構造的な問題点、必要なインフォメーションなど多くの指摘を受けることで設計段階で知り得なかった情報を得ることができた。また、体験参加者の感想として「これまで味わったことのない空間と風を感じることができた」「軟らかい草の上を歩けるのは嬉しい」など自然との触れ合いによる喜びの声も聞けた。
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