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 平成10年度の終わりごろに知事からユニバーサルデザインに取り組めという話しが出て、11年度に「ユニバーサルデザイン室」という5人の専門職員を置く組織ができました。通常のイベント組織などではせいぜい2人ぐらいで始まるのですが、この場合はかなり異例です。そこまで知事をやる気にさせたきっかけが3つありました。
一つは、平成8年度から実施に移した福祉のまちづくり条例が、専門家の枠でとどまっていてなかなか広がっていっていないこと。知事のイメージではもっといろいろな行政分野で取り組まれるべきものだという考えがありました。
2つめは、平成9年に人権意識を高めるために「人権啓発センター」を開設し、従来の差別問題だけでなく、外国人や女性、 |
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高齢者、児童虐待の問題など幅広いテーマに取り組みはじめたことです。 そして3つめは、静岡県で毎年開催している「健康長寿フォーラム」に、従前から障害者の自立に取り組んでおられる三笠宮寛仁殿下をおまねきしてうかがったお話に感銘したことです。殿下は「障害者という人がいるのではなく、体の機能の一部に支障があるにすぎない。その支障をサポートし、彼らが自立していける行政的支援が必要なのではないか」というお話しをされました。
これら3つのことが知事の問題意識としてあったところに、ユニバーサルデザインという考え方に触れたのです。それはいままでの高齢者や障害者という行政客体を特定するのではなく、あまねくすべての人を対象とした考え方でした。これまでのバリアフリーよりさらに進んだ考え方であり、これからの地域づくりにもこうした取り組みが必要だということで、ただちに |
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ユニバーサルデザイン室がつくられたのです。 
 
2名の副知事がおりますが、特に女性の副知事がこの推進に強いリーダーシップをとりました。11年度4月1日に体制がスタートし、6日には私たち5人が副知事室に呼ばれて「これからどうやっていくのか一緒に考えていきましょう」と話されました。
そのころの私たちといえば、ユニバーサルデザインという言葉すら知りませんでした。室長は当時環境部にいた人物です。私は人事課にいました。もう一人はアメリカの駐在帰り、それに土木の技術職員と建築の技術職員が呼ばれました。さらに当時はユニバーサルデザイン担当の県理事がいました。部長職と副知事との間の位ですが、この理事が各部長たちと直接話しができる立場なので、なにかにつけ助かりました。
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