 |
発明され、電気分解の技術が開発されるまで、アルミという資源は静かに眠り続けていました。
アルミの新地金生産国は主にアメリカ、ロシア、中国、カナダ、オーストラリア、以下、南米やヨーロッパの国々が並びます。日本では資源が全く採掘されないため、新地金や製品を外国から輸入し、加工を行っています。現在では、自動車や飛行機などの輸送機器を中心に、日本のアルミ消費量はアメリカ、中国に次いで世界第3位、新地金の非生産国としてはトップレベルです。
 
 アルミは従来の金属にない、非常にユニークな特性をたくさん持っています。
@リサイクルしやすい 現在、日本で使われているアルミの約40%は再生アルミです。融点が低いアルミは、使用後の製品を簡単に溶かし、再生時には新地金をつくるときの約3%のエネルギーで、ほぼ同じ品質の地金を製造することができます。省資源・省エネ対策としての有効性はもちろん、新地金を製造できない日本にとっては、メリットの大きい金属素材といえるでしょう。
A軽くて強い 鉄(7.8g/p3)や銅(8.9)に |
 |
比べると、アルミの比重は2.7、約1/3の軽さです。「柔らかくて弱い」イメージのあるアルミですが、比強度(単位重量当りの強度)が高くたわみが少ないので、輸送機器や建築物の構造材に多く使われています。現在では他の元素を添加したり、加工を施すことで、強さや耐食性を高めた合金が次々に誕生しています。鉄骨相当の強さを持つアルミニウム合金が建築構造材として使われつつあります。
B電気をよく通し、熱を伝える アルミの電気伝導率は、銅の約60%。しかし比重が約1/3なので、例えば同じ重さの送電線をつくった場合、アルミは銅の約2倍の電流を通すことができます。現在では送電線の約99%がアルミ。また鉄の約3倍という高い熱伝導率は、裏を返せば急速に冷えるということ。これを利用して、冷暖房機器やエンジン部品、各種の熱交換器、成形金型などにアルミが採用されています。
C加工性がよい 融点が低く、湯流れのよいアルミは、薄いものや複雑な形状の鋳物をつくることができます。そして溶けても表面が酸化しやすいので大気中のガスを吸収せず、常に品質を一定に保つことができます。これはつまり大量生産であっても、ミリ単位の高い精度を実現できるということ。しかも軽量なので、 |
 |
宇宙ステーションから住宅、アルミ飲料缶や生活用品、そしてカメラやコンピュータといった精密機器まで、ほとんどの分野を網羅できます。最近では接合や圧延、押出しなど、加工の技術は飛躍的に発展しています。また出来上がった製品をさらに加工したり、表面に細工を施すことも、アルミなら簡単にできるのです。
D酸化しやすく、耐食性がよい アルミは自然の状態でも、大気中の酸素をつかまえ酸化皮膜をつくって安定しようとする性質があります。従って、ほかの金属のように塗装などで保護しなくても、無垢のままで高い耐食性が得られ、アルミ独特の質感や美しさを楽しむことができます。日本で開発された「アルマイト加工」の技術は、この酸化しやすい性質を逆に利用したもの。電解液のなかでアルミを人工的に酸化させながら、同時に異なる物質でコーティングしたり、金属や染料で着色することで、用途と表現の幅をぐんと広げ、高耐久性能の材料として活用されています。
 
 こうして改めてアルミという素材を見直してみると、優れた科学的特性以外にユニークな側面があります。日本でアルミが大量に使用されたのは、戦後初の新貨幣と |
 |