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さらに巨大なパーゴラは入れ子のような二重の構造になっており、内側と外側の両面から緑化されている。支柱構造となるのは亜鉛メッキした特殊鋼でできた骨組みで、その上にイノックス鉄の緑化専用ワイヤー・システムが張り巡らされ、壁面や天井面を構成する。二重のパーゴラの間は幅4mの通路となっており、そこから2・3階の所々に設けられたホール内部に張り出す木板張りのテラスへと上ることができる。パーゴラの下は緑の壁に囲まれて、屋外なのに室内にいるような居心地の良い空間が作り出されている。
植栽されるのは地上部のプラントベッドと4階部に設置されたコンテナだ。地上部の蔓植物が主に壁面を覆い、コンテナの蔓植物が天井部分を覆う。
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植栽計画はスイスでも一流の植栽設計者フリッツ・ワスマン氏が手がけ、均一にホールが緑に覆われるように、成長の早さや強さ(高さ)の異なる蔓植物が混合植栽された。また四季折々の魅力を演出するため、花や実の色彩の組み合わせ、紅葉や芳香、建物による日当たりや風といった微気候が配慮されている。蔓植物の数は1300本、100品種という。またこの敷地から下水に流せる水量は規定されているので、雨水管理計画も重要だった。天井部分に組みこまれた雨どいから集められた雨水は、コンテナとプラントベッドを潤した後地面に浸透し、地下に巡らされた浸透管に収集されたものが貯水槽に入る。そこから必要に応じて自動潅水が行われる。また豪雨時には |
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貯水槽に保水することで、下水の負荷ピークを和らげることができる。 MFOパークの総建設費870万フラン約6億9600万円)で、パーゴラは総計画の5分3の第1期工事にあたる。第2期工事は2006年以降、向かいの旧工場が取り壊された跡地に、蔓植物を這わせた25本の柱と生垣を配した広場が建設される予定である。緑の建築の成長が楽しみである。

オエリコン旧工業用地の再整備にあたり、チューリッヒ市とABB社の間では、質の高い地域づくりのために、エコロジーと経済性の両立がひとつの基本方針として取り決められた。 |
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