情報誌「ネルシス」 vol.6 2005

P-02 [特集]みなとを生かすまちづくり 21世紀のランドスケープ・エコロジー
P-08 [CASE01]門司港レトロ事業(北九州市門司区)

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目次
平成15年度に実施された「みなとまちづくり」の事例
平成14年に国土交通省の諮問機関である交通政策審議会において、みなとまちづくりの推進が提案された。このなかで、地域が個性ある発展を将来にわたり着実に進めるためには、「みなと」の資産を住民・市民の視点から再評価するとともに、観光産業や水産業などの地域産業、海に開かれた特性など「みなと」の資産を最大限活用して、市民の合意の下で美しく活力ある「みなと」空間を形成し、「みなとまちづくり」を推進することが提案されている。平成15年度、13港の「みなとまちづくり」の取り組み、成果および留意点を「みなとまちづくりガイドブック」としてまとめている。地図にはその13港を簡単に紹介した。
*詳しくは国土交通省港湾局のホームページを参照 http://www.mlit.go.jp/kowan/minatomachi/minatomachi.html
主な港の交流施設
稚内港(北海道稚内市)
「歴史・文化」を活用。稚内みなと・まちづくり懇談会などが中心となり、「みなと」と「まち」を結ぶため、ゆきあかり(固めた雪を中空にし、ロウソクを灯したもの)を設置した。また、歴史的な資産である北防波堤ドームでコンサートを実施した。
室蘭港(北海道室蘭市)
「倉庫」を活用。NPO羅針盤が中心となり、客船バース背後の既設上屋を活用したイベント(よさこいソーラン踊り、市民コンサートなど)を実施し、5700名の市民が来訪した。この経験をもとに「みなと」でイベントを行う際のマニュアルづくりに取り組む。
小名浜港(福島県いわき市)
「倉庫」を活用。小名浜まちづくり市民会議が中心となり、港湾緑地背後の倉庫地区の利活用方策を検討した。今後、港のにぎわいの創出に向け、関係者で連携していく。
館山港(千葉県館山市)
「景観」を活用。NPOたてやま・海辺のまちづくり塾が中心となり、砂浜上に仮設構造物(足場)を設置し、足場が通年型の海岸利用のツールとして有効であることを確認した。
敦賀港(福井県敦賀市)
「景観」を活用。港都つるが(株)が中心となり、新設された緑地周辺において、来訪者の滞在時間増加促進のためのライトアップ案を、市民アンケートに基づき作成した。
宇治山田港(三重県伊勢市・二見町)
「歴史・文化」を活用。宇治山田港湾整備促進協議会が中心となり、伝統的な舟参宮(船による伊勢神宮参拝)を再現した船舶の運航を試行し、平成17年から舟参宮を開始した。
舞鶴港(京都府舞鶴市)
「緑地」を活用。NPOまちづくりサポートクラブが中心となり、港湾緑地の部分オープンにあわせてビデオなどを作成し、舞鶴西地区のPRに向けた取り組みを実施した。
宇野港(岡山県玉野市)
「景観」を活用。(社)玉野市観光協会が中心になり、屋台村オープニングイベントを実施して、1万3000人が来訪した。平成16年度は、周遊性を高めることを目的に、市内観光共通チケットを試行する。
徳島小松島港(徳島県小松島市)
「旅客ターミナル」を活用。NPO港まちづくりファンタジーハーバーこまつしまが中心となり、遊休化した旅客ターミナルを活用した交流センター内に、港の見えるカフェ「メーヴェ」を実験的に開設し、事業の継続性を確認した。今後もNPOによる運営を予定している。
西郷港(島根県隠岐郡西郷町)
「旅客ターミナル」を活用。風待ち海道倶楽部が中心となり、冬季休航中の高速船待合所を、朝市、ライブコンサートなどに活用し、「みなと」での朝市には約400人が来訪した。また「みなと」と「まち」の統一サインの設置を実施している。
八幡浜港(愛媛県八幡浜市)
「歴史・文化」を活用。八幡浜港みなとまちづくり協議会が中心となり、朝市と連携したイベント(湾内クルーズ、みなとまちツアー)、PR活動を実施し、朝市の来訪者が20%(1000人)増加するなど大きな効果があった。今後もイベント、PRを継続していく。
大分港(大分県大分市)
「緑地」を活用。NPO大分ウォーターフロント研究会が中心となり、チャレンジショップと連携したイカ釣りクルージング、クラブイベントを試行し、両取り組みとも事業の継続性を確認、今後も継続を予定している。
石垣港(沖縄県石垣市)
「離島ふ頭」を活用。みなと通り会が中心となり、離島ふ頭再開発に合わせたにぎわいづくりプランを策定した。今後は「みなと」と「まち」を結ぶ交差点のスクランブル化や桟橋付近でのイベント開催に取り組む。
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