お化け屋敷のようになっていましたからね。しかし小川さんも本当は壊したくはなかったのです。
そこで、当時市会議員をやっていた私と建設部長とで、伊勢市の都市マスタープランの中に『歴史と観光の交流拠点』という項目があったことをうまく利用できないかと考えました。拠点づくりの予算で小川商店の敷地を市に買い取ってもらおうとしたのです。
あとの運営はわれわれが独立採算でやるということで、市長を口説きました。土地代と改修で5億円近くかかりましたが、この建物はこの辺りの代表的な商家構造なので、これを残したことによって本通り一帯の価値がぐっと上がりました。拠点づくりに成功したわけです。そしてできた伊勢河崎商人館を運営するために、1999(平成11)年『N PO法人伊勢河崎まちづくり衆』を立ち上げました」
こうして河崎のまちづくりが本格的に始動する。そして勢田川を生かした古来の「船参宮」が復活するのである。
