情報誌「ネルシス」 vol.6 2005

P-20 [CASE03]蔵のまち河崎のまちづくり(伊勢市河崎)
P-30 港湾・海岸に求められる防災対策…国土交通省港湾局海岸・防災課

P26-29
目次
景色を眺め、散策できる防波堤 青森ベイ・プロムナード
本州の北の玄関口である青森港本港地区の、2004年4月に供用開始した親水防波堤「青森ベイ・プロムナード」は全長310mで、防波機能だけでなく親水性ももたせ、先端部分には円錐形の美しい灯台が設置され、シンボルゲートの役割を果たしている。堤内には展望デッキ、階段状のベンチ、ボードウォーク、イベントスペースがあり、展望デッキからは
津軽半島、下北半島などが一望でき、これまでなかった「海側から見た美しい青森港」の景色を堪能できる。舗装材はすべてノンスリップ仕様とし、11カ所に緊急用の救命はしご、浮き輪が常備されるなど細かな安全対策がとられている。
設計:青森港本港地区北防波堤景観設計検討委員会
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無骨な石積み護岸が歴史を伝える 鹿児島本港の歴史的防波堤
鹿児島本港の「一丁台場/新波止」は当初埋め立てられる予定だったが、江戸時代に造られた沖合防波堤として希少価値があり、鹿児島の石造技術が反映されていることなどから、前面に水路を残し、その姿を保全することになった。石積み防波堤をたくみに保存・修景し、ボードウォークや防護柵は歴史的な雰囲気に調和させている。防波堤上は埋め立て護岸としての転用のほか、北埠頭に残る旧白灯台から南埠頭基部の旧赤灯台を結ぶ親水プロムナードとして広く人々に
利用されている。1998年3月完成。2001年土木学会デザイン賞優秀賞受賞。
設計:(株)地域開発研究所
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アーティストがつくる護岸の風景:中国 花崗岩の石肌を生かしたダイナミックな造形 YiWi South Riverbank
本ンファ(金華:Jinhua)は中国・浙江省にある古都で、現在の町の指導者たちは工業化を進めるかたわら、都市の伝統や景観などを残すことに重点を置いている。
 また彼らは、地元の文学的遺産には特別の誇りをもっている。金華出身の詩人・艾青(Ai Qing 1910-1996)は、現代詩で最も敬服されている詩人のひとりである。そして、彼の息子の艾未未(Ai WeiWei)は、現代アーティストとして日本でも知られている。
 ジンドン(Jindong)新地区の政府は、艾青を追悼してイーウー(Yi Wu)川の護岸をデザインするよう艾未未に要請した。
 その川の護岸には、現在の都市と新しい都市像とが交わる場所が誕生した。地元で産出する花崗岩を特別なサイズに加工し、それらを用いて三角形の造形をもつ彫刻的な護岸が造られた。

艾未未
艾未未(Ai WeiWei)
1957年北京生まれ。78年北京電影学院卒業後、81〜93年ニューヨークに留学。以後、北京を拠点に活動。アート、インテリア、建築、ランンドスケープ、都市計画など幅広く展開している。96年に設立したギャラリー「芸術文件倉庫」のキュレーターとして、中国の若手アーティストの展覧会を企画するかたわら、ヘルツォーク&ド・ムーロンと協働する北京オリンピック国立競技場のコンサルタントもこなす。
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