 |
津波や高潮の被害から市街地を防護するため、護岸や堤防などの施設の整備を行っていますが、従来は、眺望を阻害するような高さの堤防や、消波ブロックにより海辺に近づけないなど、防護のみに視点をおいた施設の整備でした。しかし近年は、緩傾斜護岸や砂浜などによって防護効果を維持しつつ、利用者や景観に配慮した海岸整備を行っています。
【・・・・・・・ 整備事例 ・・・・・・・】
津田港海岸(香川県琴林地区・浸食対策事業) 津田港海岸は、津田の松原(国立公園第二種特別地域)で知られる白砂青松の地であり、瀬戸内海の播磨灘に面した弓状の地形を有している港湾です。海岸浸食対策として1970(昭和45)年度より海岸保全施設の改良整備を行ってきましたが浸食傾向は止まらず、前浜の消失・消波ブロック前面までの海面の接近など、早急な対応が必要とされていました。 このため1990(平成元)年度  |
から、ふるさと海岸整備モデル事業により、既設消波ブロックを活用した離岸堤の設置・砂浜造成による消波機能の確保・既設護岸の階段化・飛沫防止のための植栽を行いました。これによって、前浜を復元して越波・飛沫防止を図り、背後住民の民生の安定を確保するとともに海岸のかつての姿を回復し、新しいまちづくり計画と調和のとれた、安全でうるおいのある海岸空間を創出したものです。
津波が発生した場合にいち早く情報を入手し対策を行うため、国土交通省港湾局ではGPS(Global
Positioning Systemグローバル ポジショニング システム:全地球測位システム)津波計の研究開発に力を入れています。従来は海底にセンサーを設置し、陸上までは海底ケーブルでつないでいましたが、海上に浮かべたブイにセンサーを取り付け、GPSでブイの移動を測定することによって、より沖合での津波の観測を行うものです。 
|
これにより、より早く、津波の観測が可能となり、住民の早期避難が期待されます。 また、リアルタイムで全国の波の状況がわかるシステムも公開されています。ナウファス(NOWPHAS=
Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS:全国港湾海洋波浪情報網)は、独立行政法人港湾空港技術研究所の相互協力のもとに構築・運営されているわが国沿岸の波浪情報網です。 港湾空港技術研究所においては、1970年以降継続して、ナウファス波浪観測データの集中処理・解析を行っています。2005年4月現在において、全国59観測地点(波高・周期59地点、波向47地点)でリアルタイム観測を行っており、ホームページ上で簡単に、リアルタイムデータを見ることができます。 ナウファス波浪観測情報は、気象庁による波浪予報にも活用され海の安全に貢献するとともに、蓄積された長期間のデータの統計解析を通じて、港湾・海岸・空港事業の計画・調査・設計・施工をはじめとした沿岸域の開発・利用・防災に、幅広く活用されています。 |
 |