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例えば、盆栽美術館「大観」の館長である鈴木伸二さんは世界で活躍している盆栽家で、モナコをはじめヨーロッパやアメリカなど各国の展示会に招かれ、海外でとても人気があります。でも、日本人にとって盆栽って地味なイメージがあり、それほど注目されていません。こんなにすごい人が小布施で作品をつくっているのに。もっとそのことに気づいてほしい。これからは海外からも多くの人が訪ねてくるような町にし、海外の人の視点で小布施のよさを再認識してもらえたら、また新しい広がりができると思うんです」
訪れる人を快く迎える、 季節の花々が咲き誇る オープンガーデン
小布施町のもう一つの顔。それは「花のあるまちづくり」。1980年、住民の日常生活にうるおいのある環境を提供しようと、町内自治会単位で行った美化運動は、公共花壇づくりから始まり、その後120人以上の研修生を海外視察に送り出した「ヨーロッパ花と景観の研修交流事業」や、町による各地域・家庭・花壇の3部門を対象としたフラワーコンクールの開催へと発展していった。 官民一体となったこの取り組みは、町民の「ガーデニングによる美しいまちづくり」という意識をさらに高めていき、町もこれに  |
応えるべく1992年には「フローラルガーデンおぶせ」を開園。15000m2の敷地に季節の花々が一面に咲き誇る同施設は、観光名所として、また住民への園芸指導や花苗生産施設「おぶせフラワーセンター」と連携させることで、花の情報発信基地としての役割も果たしている。そして2000年には自宅の庭などを一般に公開する「オープンガーデン」がスタート。現在、その庭は60カ所以上にもなり、新しい観光の目玉としても注目されている。 「多くの人に見てもらうことは、庭づくりの張り合いになります」と話してくれたのはオープンガーデンの参加者の一人、関谷つき子さん。5月から6月にかけては、自宅の庭に20種類余り、50本以上のバラが見事に咲き誇る。以前は団地住まいだった関谷さんは12年前に新築したのを機にガーデニングを始め、オープンガーデンには当初からメンバーとして参加している。芝張りから、敷石の施工、雨水利用のシステムまで、庭に関することはすべてをご主人と2人で行うという本格派だ。ときどきは仲の良い友人4、5人と集まって情報交換もする。 「町から補助金が出るわけではないのですが、皆、花好きが高じてやっているんです。毎日開放しておかなくては、なんて気負わず、草刈りの日はクローズする  |
などマイペースでできることが、長く続けられる秘訣ではないでしょうか」と関谷さん。 庭のスタイルに決まりはなく、イギリス風や日本庭園、ロックガーデン、紅葉が楽しめる庭などさまざま。オープンガーデンになっている庭には、花のキャラクターをあしらった案内板が掛かっていて、気に入った庭を予約なしで自由に見学できる。 2001年には、市村町長と時を同じくして、これらの取り組みを主導した唐沢彦三前町長も「人と花の輝くまちづくりカリスマ」として観光カリスマ百選に選定された。唐沢さんは長年にわたり町役場で要職を歴任した後、1989年に町長に就任。以来、町民が主役となるべく「単なる観光振興ではなく、町と住民が連携した、住民の視点に立ったまちづくり」をモットーに、その優れた主導力で、農業主体の町から年間100万人以上もの人が訪れる今日の小布施町へと導いた。この2人のカリスマによって小布施町は全国的にも優れた観光地として、訪れる多くの人々を魅了することとなったのだ。
小布施発。世界に認められた 自社栽培・醸造ワイン
「世界で認められるということは日本人というアイデンティティを持ったワインでなくてはなりません。  |