大阪人の心意気で
まちは素敵に変わっていく
中之島では2008年に中之島新線が開通する予定だ。中之島高速鉄道(株)が、東西3kmにおよぶ中之島に4カ所の新駅をつくるため、大川の下にトンネルを掘り、大規模な地下鉄の工事を進めている。二見氏は、この工事現場を“見る見られる新線工事”“工事を実況中継する”をコンセプトに景観デザインをコーディネートしている。工事現場を囲う塀に古レンガや木を用い、大川の上には遊歩道を仮設し緑化、風力発電による夜間のライトアップと、中之島の景観を損なわない“居心地のいい”工事現場を実現した。
また、事務所近くの船場・三休橋筋エリアの再開発にも力を注いでいる。この周辺には大阪市中央公会堂や福沢諭吉が学んだ適塾など歴史的建造物が数多く残るが、観光資源や文化的なエリアとして十分に機能していない。三休橋筋を魅力ある通りに生まれ変わらせることで船場を活性化しようと2002年、役所にまちづくり再生プランを提案した。これに対し、市は本格的に取り組みを実施。以来、歴史的建造物の保存活用、道路整備、電柱の地下埋設、街路樹の整備などが進められている。

左●船場ビルディングの屋上庭園「AR COURT」。古いだけの建物が魅力あるスポットに生まれ変わった。*現在は閉園 右上●再生前の中庭。自転車や荷物などが置かれ雑然としていた(写真左ともに写真提供:E.M.I.PROJECT・二見恵美子著『ランドスケープスタイル』より) 右下●現在の中庭。緑とベンチを配し、おしゃれな空間に
左●中之島新線工事現場(写真提供:E.M.I.PROJECT・二見恵美子著『ランドスケープスタイル』より)
右●三休橋筋に設置された本物のガス灯。柔らかな光が通りを美しく照らす