2007年春、お台場の空き地に152個にもおよぶ鉄製コンテナが積み重ねられた。それは、アーティスト、グレゴリー・コルベールによる作品展「Ashes and Snow」のための美術館。
遊牧を意味する「ノマディック美術館」は、その名のとおり世界を巡回している。そのこと自体は珍しいことではないが、ほかの展示会と何が違うのかというと、作品だけでなく展示場である建物も移動してしまうのだ。作品展が世界を旅するごとに、訪れた港でコンテナを調達し組み立てる。まるでサーカス小屋のように、何もなかった空間にノマディック美術館が出現する。それは「決してひとつところにとどまることのない環境をもたらす持続可能な建造物を創る」という構想によるもの。ニューヨークで初めて披露され、
